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けっこう書き方忘れてるなぁ。
それほど「らき☆すた」に詳しいわけでもない。あと、内容的にとてもアレです。
つかさは双子の姉を慕い、いつしかそれは淡い恋心へと変わっていく。しかし、姉・かがみの心は、共通の友人・こなたのことで占められていた。そのことを察しつつも知らない振りをするつかさ。姉の口から「こなた」という名前が出るたびに胸を痛める。耐え切れなくなったつかさは、別の友人・みゆきに相談する。「どうしてつかささんが耐えなくてはいけないんでしょう」。みゆきはつかさを励ます言葉を口にする。「かがみさんの一番近くにいるのはつかささんですよ」「双子なんですから」「こなたさんだって女の子同士ですよ」「つかささんが一番かがみさんのことを理解されていると思いますよ」。みゆきに励まされたつかさは、以前にも増して姉を慕うようになる。過剰なほどに。「ねえ、お姉ちゃんのこと、一番よくわかってる人って誰だと思う?」「ちゃんと答えてよ」「……こなちゃん?」「どうしてこなちゃんが一番だって思うのかなぁ」「どうして?」「ねえ、どうしてかなぁ?」「……そう、そうだよね! だって私達双子だもんね! お姉ちゃん、大好きだよ!!」。つかさの言動や行動が段々とおかしくなっていくことを心配したかがみは、たびたびこなたに相談するようになる。そうしてかがみとこなたはさらに親密になっていき、そのためつかさの心は荒れ狂うことになる。みゆきはそんなつかさに優しく囁く。「かわいそうなつかささん。悲しいですよね。でも、その気持ちをかがみさんにぶつけてはいけませんよ。かがみさんはつかささんの大事な人なんですから。……そう、泉さんが悪いんですよ。全部泉さんが……」。帰りの遅くなったかがみ、つかさは姉の部屋で小さく座って待っていた。「……そう、こなちゃんのところでご馳走になってきたんだ」「……え? どうして謝るの?」「謝ることなんてないよ。だって、悪いのはお姉ちゃんじゃなくて、こなちゃんなんだから」。澱のような気持ちが胸の奥にたまり、生気のない目をするようになるつかさ。心配したかがみは、土曜日曜を利用した、こなたの家でのお泊まり会を計画する。「みゆきさんも呼ぶからきてよ」。月曜日、目に生気を取り戻したつかさは、こなたの冗談に笑い声を上げ、かがみの言葉に柔らかな笑みを零す。放課後、つかさは鉄パイプを握っていた。人気のない路地裏。血のついた鉄パイプ。よく知っている友人が、地面に倒れこんで呻いている。「こなちゃん、まだ動けるんだ。小さいのにしぶといんだね。でも……」。最近買ってもらった携帯電話を取り出し、どこかにかけるつかさ。「うまくいったよ、ゆきちゃん」。電話の向こうから静かに微笑む気配が伝わってくる。「よかったですね、つかささん。でも、それで安心してはいけませんよ。かがみさんは魅力的な方ですから。ほら、何て言いましたっけ? かがみさんと同じクラスの、あのお二人の名前……」。振り下ろされた鉄パイプが赤く染まる。「お姉ちゃんは私の大事な人なんだから……。私はお姉ちゃんを一番理解してるんだから……。お姉ちゃんに近づく人は私がみんな……、みんな……、そう……、ゆきちゃんも」。迫りくる鉄パイプに、しかしみゆきは避けようともせず、受け入れるような微笑みを浮かべる。(求めても手に入らないものならば、いっそのことすべて壊して……)。家に帰り、かがみの部屋に向かうつかさ。返り血を浴びたつかさの姿に、かがみは言葉を失う。つかさはかがみの視線に気づき、にこやかに説明をはじめる。つかさの言葉を聞いているうちに、かがみの顔色が変わってくる。「うそでしょ?」「うそ? どうしてそう思うの? どうして信じてくれないの? 私がお姉ちゃんにうそなんてつくわけないじゃない」。かがみは悲鳴を上げながらつかさに飛びかかり、馬乗りになる。「うそでしょ? うそだと言って、つかさ!」「こなちゃんさ、あんなに小さいのに、すごくしぶとかったんだよ」。かがみは叫び声を上げて妹の首を絞める。「お姉……ちゃ……どう……し……」。はっと我に返ったかがみは、つかさから離れ、ふらふらと部屋を出ていった。つかさはその背中に呼びかけるが、かがみは振り向きもしなかった。「お姉ちゃん……」。つかさはそのまま気を失う。数ヵ月後、つかさは病院のベッドの上にいた。「今日もこなちゃんこなかったね。忙しいのかなぁ?」。つかさは数ヶ月前の自らが犯した凶行の記憶をなくしていた。ベッド脇の椅子には、少し疲れた顔をしたかがみがいる。「そうね。ほんと何やってんのかしら、あいつ」。かがみはそう言い放ったものの、こらえ切れず両手で顔を覆い、やがてベッドに顔を埋めるようにして泣き崩れた。「お姉ちゃん、どうしたの?」「……な、何でもない。何でもないのよ。つかさは何も心配しなくていいの」「お姉ちゃん、泣かないで」。つかさは手を伸ばし、愛しい姉の頭を優しく撫でた。「大丈夫だよ、そのうちこなちゃんもゆきちゃんも顔見せにくるよ」「……そうね、きっとそうね」「うん!」。だから、ねえ、泣き止んでお姉ちゃん。泣いてるお姉ちゃんなんて嫌だよ。笑ってお姉ちゃん。私、お姉ちゃんのこと大好きだよ。
虚構少女
その少女は通常二人だった。
同じ顔、同じ声、同じ姿形、そして同じ記憶。双子のようなものだと彼女は認識していた。その少し範囲の広いものだと。
朝、七時過ぎに目覚ましが鳴る。一人が目覚ましを止めてから、のろのろと身体を起こす。もう一人はまだ眠っている。起きた一人は目をこすりながら台所へ。冷蔵庫を空け、食パンとマーガリンとカルピスを取り出す。寒くなってくるとお湯を沸かし紅茶を淹れたりするけれど、そうでない時期は大体カルピスだった。
二人分のパンを焼いてマーガリンを塗り皿にのせ、好みの濃さのカルピスを作ったところで、もう一人が起きてくる。起きてこないときは起こしにいく。少女は二人だけで暮らしている。
二人でざくざくとパンを齧り、カルピスの濃さに文句をつけることない平和な朝食を終え、それから一人は学校や遊びに出かけ、もう一人は留守番として家に残る。その役割は「どちらかがいつも」や「交代で」など決まったことではなく、例えば、「先にパンを食べ終えたほう」や「皿やグラスを片づけないほう」と、言わばそれぞれの気まぐれで決まることだった。
日曜日や祝日、夏休みや冬休みなどのときは、二人とも家で過ごすことも多くあった。そうした日は、ゲームをしたり、本を読んだり、ネットをしたり……、けれども、二人で話し込むということはあまりしなかった。それは、少女としては独り言を言っているように感じられ、何か照れくさいものがあるらしかった。
学校のある時期は、朝に一人を見送ったあと、残った一人は家の用事をする。皿を洗い、洗濯をして、掃除をして、洗濯物を干す。たまに部屋の模様替えをする。完璧な仕事をしているわけではないけれど、それでも、もう一人に文句を言われない程度にはこなす。ただ、毎日その途中で、一、二時間ほど記憶が飛び、少女としては訝しげな気持ち――これはきっと、わたしが「わたし達」であることと何か関係があるのだろう――を抱いていた。しかし、それに対して何かしらの行動を起こすことはなかった。どうすればいいのかわからない、ということもあったのだろう。
学校に向かった一人は、その中でただの一生徒として過ごした。特に変わったことは起きず、起こさず、真面目に、そこそこ不真面目に授業を受け、休み時間には友達と雑談をする、どこにでもいる一女生徒として。部活は、とある文化部の半幽霊部員で、出たり出なかったりして、その学校生活を緩やかに楽しんでいた。
家に帰ると、一人は、家に残ったもう一人に「ただいま」と告げ、もう一人も、帰ってきた一人に「おかえり」と返す。学校から帰ってきたほうの一人が、カルピスを二人分作り、そしてしばらく居間で休んでから、日が沈んだころに、二人で夕飯を作りはじめる。その間、特に会話をすることはなく、しかし険悪な雰囲気というわけでもなく、例えば、よく鼻歌などを歌い、一人が上のパート、もう一人が下のパートを担当し、お互いのパートに少しずつ引きずられながらも、そこそこ綺麗にハモった歌声を、誰に聞かせることなく響かせたりした。
そのあとはゲームをしたり、読書をしたり、お風呂に入ったり、学校の宿題をしたり、ネットをしたり、そして飽きたら眠るという、何でもない日常を過ごしていた。
少女にとっては日常のことで、しかし少女以外にとっては日常でないことの一つに、「朝出かけた一人が帰ってこない」ということがあった。その日は夕飯を一人分だけ作り、翌日、残った一人が学校へ向かうことになり、そこでまた特に変わりない日常を過ごす。そうして帰ってきたときに、「ただいま」と誰もいないはずの家の中に告げる。すると、「おかえり」と、自分と同じ声が返ってくる。居間に向かうと、自分と同じ顔がいて、学校から帰ってきた一人がカルピスを作ってくれるのを待ちわびている。
同じ顔、同じ声、同じ姿形、そして同じ記憶を持つ「もう一人」。
しかし、この「もう一人」が、今までいた「もう一人」とはまた別の、新しい「もう一人」であることを、「学校から帰ってきた一人」は理解している。
それまでの「もう一人」がどこへいったのはわからない。帰ってこない「もう一人」の記憶は、いつも何かの途中で、ぷつりと途切れるのだ。授業を受けてノートを取っているときであったり、昼休みにお弁当を広げているときであったり、トイレに向かう途中の廊下であったり、学校帰りの道端であったり。そのあとでも教師や友達の反応は普段と変わりなく、少女は日常を続けるしか仕方がない気持ちになるのだった。
日常を続けることには何の問題もなかった。例えば、冷蔵庫には常に食材が補充され続ける。いつの間にか、少女が気づかないうちに、減った分だけ増えている。他にも、公共料金の請求がきたことはないし、止められたこともない。携帯電話やネットの料金なども同じだった。
少女はそうしたことに薄ら寒いものを感じなくもなかったが、しかし、実際に少女自身――わたしという存在――は消えておらず、生活に支障もきたしていないこともあり、やはり何の行動も起こさなかった。また、何か行動を起こすことで、もしかしたら自分を取り巻くこの世界が崩れてしまうのではないか、そんな恐れに近い気持ちを抱いていたりもした。
さて、少女はあるとき、ネットで少し変わった物語を見つける。
http://d.hatena.ne.jp/Erlkonig/20080723/1216810947
“数えられる”ことができない女子高生の話だった。どこか自分と似た境遇であるように少女には感じられた。わたしは「わたし達」で、「わたし一人」ではない。この物語の彼女も、「一人ではないのかもしれない」というふうに描かれている。ある種の親近感とともに、少女はふとあることを思いつく。
わたしが「わたし達」なのを誰かに話したことはない。誰かに相談するのには本能的な恐れがあった。しかし、ネットでならどうだろう。ネットのブログには虚実が入り乱れ、半信半疑のものとして捉えられることが多くある。さらに「物語」として、フィクションとして書いてしまえば、誰かに話すこと――相談ではなくなるのではないだろうか。それは現実に対して「行動を起こす」ことではない。ただ単に、架空の「物語」を書いただけのことだ。そして、もしかしたら、その「物語」を見た誰かが、わたしが「わたし達」である理由を、面白半分にでも推測してくれるかもしれない。
少女は自分の思いつきに目を輝かせ、喜び勇んでキーボードを叩きはじめる。
――と、そこで少女の意識は途切れる。そして「宮野早苗」という、ある女子高生の意識に切り替わる。
パソコンの前で突っ伏してうたた寝をしていた早苗は、ドア越しに呼びかけてくる母親に寝ぼけた声で返事をした。妙な夢を見ていた気がして、首を傾げながら思い出そうとするけれど、夢の気配は瞬く間に薄れていく。早苗は一つ欠伸を漏らし、とりあえず母親に呼ばれるまま、夕飯の席に向かった。
漫画ナツ100
http://d.hatena.ne.jp/dangerous1192/20080806/p1
10巻以内で完結している漫画を100上げてください。
最低ラインは30です
参加してみました。時間的にぎりぎりです。やり方合ってるのかどうかわからないんですが、一応これで。
自分ルールとして一人の作家に対しては二作品までにしました。
思いついた端から書いていったのでかなりの順不当ぶりを発揮しています。
では以下から。
神戸在住,木村紺
マダムとミスター,遠藤淑子
ヘブン,遠藤淑子
みすて・ないでデイジー,永野のりこ
電波オデッセイ,永野のりこ
僕といっしょ,古谷実
シガテラ,古谷実
ピンポン,松本大洋
三日月パン,ささだあすか
バラエティ,ささだあすか
さゆリン,弓長九天
皇国の守護者,伊藤悠/佐藤大輔
ラブロマ,とよ田みのる
FLIP-FLAP,とよ田みのる
エマ,森薫
シャーリー,森薫
プラネテス,幸村誠
【トランスルーセント】彼女は半透明,岡本一広
レベルE,冨樫義博
敷居の住人,志村貴子
どうにかなる日々,志村貴子
度胸星,山田芳裕
コナコナチョウチョウ,望月花梨
笑えない理由,望月花梨
龍の眠る星,清水玲子
22XX,清水玲子
PS羅生門,中山昌亮
やさしいからだ,安永知澄
あのころ、白く溶けてく,安永知澄
ちょこッとSister、竹内桜/雑破業
ベル☆スタア強盗団,伊藤明弘
オーディナリィー±,高橋慶太郎
幕張,木多康昭
あずまんが大王,あずまきよひこ
G戦場ヘブンズドア,日本橋ヨヲコ
極東天国,日本橋ヨヲコ
東京赤ずきん,玉置勉強
恋人プレイ,玉置勉強
年上ノ彼女,甘詰留太
ヨイコノミライ,きづきあきら
カラクリオデット,鈴木ジュリエッタ
カリフォルニア物語,吉田秋生
吉祥天女,吉田秋生
ALEXANDRITE,成田美名子
君の瞳に三日月,桑田乃梨子
おそろしくて言えない,桑田乃梨子
×(ペケ),新井理恵
子供達をせめないで,新井理恵
ゆんぼくん,西原理恵子
カミヤドリ,三部けい
美女で野獣,イダタツヒコ
誰かがカッコゥと啼く,イダタツヒコ
美女が野獣,マツモトトモ
お迎えです。,田中メカ
So What?,わかつきめぐみ
反町くんには彼女がいない,有川祐
寄生獣,岩明均
げんしけん,木尾士目
茄子,黒田硫黄
羊のうた,冬目景
フラワー・オブ・ライフ,よしながふみ
西洋骨董洋菓子店,よしながふみ
少年は荒野をめざす,吉野朔実
ECCENTRICS,吉野朔実
ハチミツとクローバー,羽海野チカ
ネムルバカ,石黒正数
オーレ!,能田達規
電車男,渡辺航/中野独人
ガールフレンド,別天荒人/外薗昌也
琉伽といた夏,外薗昌也
センチメントの季節,榎本ナリコ
滅日,たがみよしひさ
屈折リーベ,西川魯介
そっと好かれる,小田扉
こさめちゃん,小田扉
ふたりごと自由帳,小坂俊史、重野なおき
バオー来訪者,荒木飛呂彦
アクアリウム,須藤真澄
ゆず,須藤真澄
げこげこ―水上悟志短編集,水上悟志
エンジェルお悩み相談所,水上悟志
LA QUINTA CAMERA〜5番目の部屋,オノナツメ
リストランテ・パラディーゾ,オノナツメ
BLOW UP!,細野不二彦
ブラッドハーレーの馬車,沙村広明
9月―september,西炯子
百目の騎士,村崎久都/小池倫太郎
ふらせら,なかねかつを/小池倫太郎
邪眼は月輪に飛ぶ,藤田和日郎
黒博物館スプリンガルド,藤田和日郎
殻都市の夢,鬼頭莫宏
乙女ケーキ,タカハシマコ
CAPTAIN RED,藤田貴美
蝶々に聞いてごらん,藤田貴美
蠢動,園山二美
夕凪の街 桜の国,こうの史代
街角花だより,こうの史代
向こう町ガール八景,衿沢世衣子
おかえりピアニカ,衿沢世衣子
夕日ロマンス,カトウハルアキ
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吐き出してしまわないように彼女は両手で口を押さえた。泡立ったそれが口の端からこぼれ、顎の先まで伝う。眉をひそめ、次第に目が潤んでくる。「ほら、飲めないんだったら出しちゃっていいから」という彼の声にも、彼女は首を振った。「飲みたい」とも「飲める」とも言ったのは彼女自身だ。けれど、とてもにがい。ビデオとか漫画とかではみんな「美味しい」って言ってたのに。全然美味しくなんかない。変な味。少量の、けれど彼女にとっては眩暈を起こしそうな量の口内の液体。彼の心配そうな顔に意を決して、ゆっくりと喉を鳴らした。
「ん……、んく……、んっ……」
彼女は彼の顔を真っ直ぐに見て、ニッと、少し照れくさそうに笑った。
「飲んだよ。ほら、残ってないでしょ?」
何故か自慢げに、褒めて欲しそうに口を開ける。
「そうだな、偉い偉い」
「えへへ」
頭を撫でてくる彼の手に、彼女は幸せそうな顔をした。
http://news.livedoor.com/article/detail/3747743/
僕にとってはこういうのが一番むずいですね。ではまた。
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今更はてなハイクをはじめてみました。
http://h.hatena.ne.jp/nisinao/