黒沢清のは総じてわけがわからなくて賛否両論で当然のように否が多いわけなんですが、「カリスマ」は特にわけがわからない。一番よく観ていて一番気に入っている映画なんだけどなんだろう。感想なんか書けないなーこれ。
「否」の人の言うことはよくわかる。簡単に言えば「最低限わかるように作れ」かな。まあ、全くその通りだとは思うんですが。
どこかのレビューに(どこだったか忘れた)「黒沢清は死を軽く描きすぎる」というのがあって、いやそれも全くその通りだなぁと。でも僕は黒沢清のその部分を気に入っているわけで。黒沢清の描く死は静かで、でもあまり緊張感が無い。いや無いんじゃなく、他のシーンと同じ緊張感で描いてるってことかな。大概、「理由が無いか薄い悪意」による突然の死で、それを他のシーンと紛れさせるかのように、自然に描いている。ように思う。なんつうか、自然にしちゃいけないだろうと。「こうすれば驚くだろう」でなく、とても自然に、そんな感じがするわけです、僕は。
ついでに、命が掛かっているようなシーンをコミカルに描いてしまったりもする。ひとことで言うと悪趣味か。アクション映画だったらアリの部分もあるんだけど、アクションじゃないし。ほんとなんだろう。まったく何が良いのやら。
やっぱグダグダです。思い入れが強すぎる。
「カリスマ」という一つの個体が持つ個性と、意図しない悪意。それに巻き込まれ、歪んで壊れていく人と世界。カリスマ自体に悪意は無い。けれど同じ。それが、「生かす力と殺す力は同じ」ということかなぁ。よくわからない。てか、違うな。
黒沢清の映画は全体的に怖いと思うのだけど、僕はこの「カリスマ」が一番怖い。