奇想。シンプルな幻想譚。結論などは無く、気持ちよく放り投げている。はなしっぱなし。五十嵐氏の頭の中にあるイメージを、ほんとただ絵に漫画にしている感じ。「幻想イラストに近い漫画」というのを今何となく思いついた。マイナスの意見じゃなくで。
ただちょっといやらしいことを言うと、これ復刻版らしくB5判で1100円とやや高め。値段と大きさに僕はちょっと構えて読んでしまったように思う。5〜600円くらいの手ごろな大きさので出しててくれたらもっと素直に読めたんじゃないかなぁと。好きな感触のものには違いないんですが。

SF。ジュブナイルSF。連載時、ずっと立ち読みでチェックしてました。ブックオフでたまたま売っていたのでまとめ買い。全四巻。
外薗昌也にこういう恥ずかしいような甘酸っぱいようなのを描かせると全力で恥ずかしいような甘酸っぱいようなものにしてくるわけさ。切ないしのた打ち回るし兄妹だし未来からの使者だしSFだし、ということで僕はこれが大好きなわけです。SFな人に特にお勧め。SFじゃない人にももちろん。ジュブナイルSFと言うジャンルが持つ、過ぎ去ってしまったものへの憧憬。懐かしさ。まあ好きなのですよ。

それぞれの個性、それぞれの生き方をする女性を描いた短編連作。
よしながふみ特有の長台詞と間合いと表情で魅せる。いい。上手い。
ただ、感情をそんな綺麗に表情にするかなぁと、この人の漫画を読むときはいつも思う。まあそれだけ上手いってことでもあるのだと思う。うん、言いがかりに近いのかも。そこら辺は、よしながふみらしさ、でしょうか。嫌いじゃない、むしろ好きな部類。