角川スニーカー文庫
隠れた名作とどこかで紹介されていて、たまたま立ち寄った本屋でたまたま目に入った。買った。
派手な展開はない。SF。あるロボット兵と少女が暮らす惑星に、敵の降下兵が降りてきて、なし崩し的に一緒に暮らすことになる。という、どこかで聞いたことがあるってよりかは懐かしさすらを感じるような展開。子供のころに、どこかでこういうSFに出会っていたような気がする。漫画かアニメか深夜の映画か。以来、SFに心惹かれるようになった、気がする。
文章がちょっとぎこちなかったり、視点の切り替えがどうもわかりにくかったりするんだけど、それでも「いい」と言える種類のもの。ラストは泣いた。僕がこういうのに弱いってだけかもしれませんが(『ふらせら』も似たようなシチュエーションですね。もちろん大好きなんだけど)。
名作、とは言えないんだけど、でも中高生のときにこれを読んでいたら、SFが好きであるかぎりはずっと捨てずに持っているんだろうなと思う。で、たぶん何度も読み返すんだろう。『楽園』はそういったものだと思う。すごくよかった。