スニーカー文庫
この人、もとから創元推理ですね。日常の謎。キャラクターと人物配置の両方が総合的にいい。ちゃんと無理なく話が流れるように配置してあって、うまいと思う。謎自体に特に驚くようなものはないんだけど、きっちり仕上げてある。青春小説。ミステリー主体に読むと物足りないかもしれないけど。
温度がいい。『氷菓』の意味がわかったときの、冷えたような、あるいは逆に熱くなったような感覚。登場してない関谷純が一瞬で魅力的になった。けっこう好みかもしれない。悪い意味でなく、懐かしい感じがする。

僕は『イリヤ』より『猫の地球儀』のほうがダメージ大で。
それはたぶん、『猫』は残されたものが残されたままでいて、希望を持っていたからだろうと思う。叶わないだろう希望。叶わないけれど微かに叶って欲しいと願う希望。そういうのに弱いようです、僕は。まあどちらもくらうダメージは半端じゃないんですが。