最近読んだのをいくつか。基本的にライトノベル

創元推理。米澤穂信にはまり気味です。
マーヤを魅力的に書けているかどうかなんだろうと思う。「哲学的意味がありますか?」と聞くマーヤはとても魅力的だった。ほろ苦い。
それで充分なのだけど、もうひとつ何かが足りない気もする。キャラ立ち、人物配置の良さは疑いようもない。表紙の作品紹介に「力作」とあって、力作であることも間違いないんだけど、何だろう。良作だと思うんだけど。
「間違えてもいいからやりたいようにやる」と「間違えずにきちんと伝える」の中間に来てしまったのかなと。
感触と技術。勢いと上手さ。手触りと視点。
この先どういう作品を書くのかは興味深い。悪い意味でなく。
マーヤが「マーヤ」と名乗ったことに、痛みと微笑ましさを感じる。文化の違い、個人の違いを見据えようとしている。前記の文章と関係なしに、少し滝本竜彦を思い起こした。
いずれ米澤穂信はこれを焼き直して欲しいと思う。このままだともったいない気がする。

スニーカー文庫
たぶん佳作なんだけど、自分的は良作。何かが残る。
何度も読み返している小説に『デッド・ゾーン』(スティーブン・キング)てのがあります。一般的には佳作なんだけど、でも僕にとっては読み終えた次の瞬間に読み返したものでした。そのとき夜中の二時。上下巻で朝七時までかかって上巻を読み終えた。まあ、高校生のときだったしな(授業中は寝まくり)。『愚者』はそういったものだと思う。内容は全然違うけど。
書こうとしているのは感情だろうと思う。同じ結果であってもそこにある感情が違えば別のものになる。若くて青いもの。でもそれでいい。ほんの僅かな差でまるで違うものになる。
読み終えてから、タイトルがすごく良いと思った。米澤穂信の作品では一番好きかもしれない。

  • 『ルカ―楽園の囚われ人たち―』(七飯宏隆

電撃文庫
孤独と安らぎ。たった一人。
滅びた未来。人間のエゴイスティックな部分がちゃんと描かれていて好感が持てる。だからこそ。こういうのはやっぱり秋山瑞人が上手いんだけど、これも悪くないと思った。ルビ、ふりがなを煩く思うくらいには面白かった。いろいろ甘いと思うところもあるんだけど、次作に期待できる。


もうちょっと書こうと思ったんだけど疲れた。