テンションが絶妙。高過ぎず低過ぎず。何度も笑った。このシリーズで、一番ぴったり嵌ったように思う。テンコの暴走っぷりがいい。こういう暴走はテンコならアリ。
それよりも何より、もう、久美子が頑張り過ぎ。ああ、もういいよ、そこまでしなくてもいいはずだよと、読みながら思った。
報われないこともあって。報われないための努力をできる人間がいて。泣ける。久美子はもう。もとから久美子は好きだったけど。鼻の奥がツンとなった。
久美子のハッピーエンドがあってほしいと思った。「花」が読みたい。

電撃文庫
ライトノベル版「ビッグ・フィッシュ」といったところでしょうか。お伽話。夢物語。ちゃんと夢物語であることを意識して書いているように思う。孫が祖父にお話を聞かせる。普通とは逆のパターンが面白い。現実味のない話だからこそ、面白いし、意味がある。ってこともあるよっつう話。
綺麗にまとまっている。シュプルとおじいさんの距離感がいい。
難を言えば、語り部が子供なのに「相好を崩した」とか「渋面をつくった」とか、らしくない言葉遣いをしているところか。

や、面白かったんですが、一、ニ巻に比べたら。タズサの相手役、オスカーがもうひとつこない。性格が見え難いっつうか(主要キャラのはずなのに、そのわりに影が薄い。怒鳴り散らしているだけっつうか)。で、ラスト付近がちょっとグダってしまったように思う。
スケートシーンはやっぱり圧巻で、これを楽しみに読んでる部分もある。んだけど、これも一、二巻に比べたら、そう引き込まれなかった。自分から想像してしまった。
悪くはなかった。面白かったんだけど、もっと引っ張り込んでほしかったというのが正直なところ。でも、外してはいないんで、vol.4に期待かな。
この人、他の部分は並だと思うんですが(失礼)、ただ「臨場感」という強力な武器を持っている。