角川書店角川スニーカー文庫から出ている『氷菓』『愚者のエンドロール』の続編で、1600円。いや、文庫で出せ。頼むから。
という愚痴はまあ置いといて。


毎度のことながらキャラ立てがやたら上手い。湯浅部長とか河内先輩とか見事。
主要キャラの四人、四つの視点でそれぞれの文化祭を描いている。単純に読んでて楽しい。視点の切り替えのタイミングとかについ笑かされてしまう。お気楽に読んでいて、ラストのほうで、ふっと切ない気分にさせられる。それが、なんていうか、嫌じゃない。ノスタルジックな部分を刺激される。
期待とか嫉妬とか失望とかごく当たり前に転がっている絶望とか、米澤穂信はそういうものを描いているのに、何故だか心地よい。『氷菓』『愚者のエンドロール』に比べたらちょっとキレがないように思う。だけど、書こうとしているものがとても好きだ。
折木奉太郎の行動にやや疑問が残るんだけど(淡い悪意の部分こそ「面倒くさい」と思うんじゃないかなぁ)、でも「キャラが違う」と言うほどでもないか。や、面白かった。
ライトノベルは読まないんだけど、でもいっぺんくらい読んでみようかなーという人に米澤穂信はお勧め。