電撃文庫
今年上半期、2ちゃんのライトノベルので一位だったらしくて。
……油断した。そりゃまあ、ただのラブコメじゃないよな。ヒロインが電波とツンデレ。でもそこに(電波、ツンデレに)至るまでの経過がある。現実は甘くない。きちんと掘り下げているし、どうしようもないような部分をちゃんとどうしようもなく描いている。秋山瑞人的なものを感じた。秋山瑞人ほど冷たい方程式をやる人ではないかなとは思うけれど。
で、ちょっと引用すると(正直ネタバレなので注意してください)、

 こういうパターンにおいてよく見られる現象として、『泣きながら大騒ぎして走った俺達。服も髪もびしょ濡れで最悪だぜ。だけどなにやらめちゃくちゃに突っ走っているうちに、段々楽しくなってきちまった。気がつけば二人揃って大笑いしてたのさ』……というものがある。
 俺は好きだ、そういうのが。終わりが明るいと救いがあるから。

こういうのをこんなふうに書いてしまえる人を、僕はかなり好きです。

 カバーをわざわざ裏返しにかけてあるのはなんだ?
「……大槻ケンヂに、バトル・ロワイヤル……」
(あちゃー!)
 心の中だけでひそやかに叫び、思わず確かめてしまったものをそっと棚に戻した。

いやまあなんというか、よくわかってらっしゃるというか。


どこかで「普通に良作」という感想を見かけたことがあって(どこだったか忘れた)、その通り普通に良作だと思った。