• 『春は出会いの季節です アルテミス・スコードロン』(扇智史

ファミ通文庫
トップをねらえ!」及び「E.G.コンバット」を思った。
2272年、女性士官養成学校、通称『練女』で過酷な訓練に励む少女達の日々。
暗い部分を匂わせながらも、基本的に学園ものでSFで青春てやつで、こういうの好きか嫌いかと聞かれたら「好きに決まってんじゃん」と答えるわけですが。設定でつい期待して読んでしまって、でも裏切られませんでした。面白かった。軽い感じで始まって段々重くなって最後は清々しく。パターンとも言えるけれど、やっぱ好きですね。キャラクターの描き方が見事。魅力的。
いろいろ細かいところで(いい意味で)生活感に溢れていて、そこら辺がうまいなと。感情移入しやすい。

ほとんど手をつけられていない親子丼の黄身が、きらきらと蛍光灯を反射していた。

こういう、「別になくてもいいよな」って文章がけっこうツボに入った。続きが読みたい。


美しい少女と美しい少年とそれを取り巻く者たち。勝手な想像だけれど、桜庭一樹が自分の好きなものを好きなように書いたと、そんな印象。他の要素を混ぜずに。それはもう当たり前に面白かった。七竈とみすずの会話、七竈と優奈の会話が何ともいえない。独特の距離感。失ってしまうもの。


内容説明しづらい。ミステリー。十四歳。焼死したはず親友が携帯から話しかけてくるってのが導入部分だけれど、そこからものすごい展開を見せる。詰め込んだ感が。面白くはあったんだけど、それは「読みやすかったから」というのが強いかな。詰め込んだ分、ちゃんとフォローできてないというか、いや、まずくはないんだけど出来ればその部分は他のをほっといてもフォローしてくださいってところが多かった。正哉、和美が途中で退場してあと出てこないとか、真犯人の動機部分、そんな理由でそこまで危ういことするかなとか。
ただ人物造形やら文章やらは好きな感じなので、別のを読んでみたい。


  • 『失はれる物語』(乙一

ウソカノがとても良かった。超人計画を読んでだから書いたのかなとか思ったけれど、そっちのほうはパラパラと立ち読みしただけなのでよくは知りません。そのうち読むと思う。
おこがましいことを言えば、こういうのを書きたいと思った。でもこういうのを、乙一ほどうまく書ける人はいないのだろうと。思う。あー。