• 「空を見上げる古い歌を口ずさむ」(小路幸也

悪名高いメフィスト賞作品ですが、メフィスト賞自体はそう嫌いではない。好んでライノベ読む人間なので。まあ清涼院流水はちょっと挫折しましたが。
(読み返したらネタバレしてるっぽい)
恩田陸の推薦文が付いていたので買ったわけですが、読んでみて「まあ、そうしないと駄目か」とは思う。面白かったんですが、これは「光の帝国」(恩田陸)の長編バージョンとも見れる。「光の帝国」+「球体の季節」(これも恩田陸)でしょうか。
「いつかお前の周りで、誰かが〈のっぺらぼう〉を見るようになったら呼んでほしい」と言い残し姿を消した兄。二十年後、「ぼく」の息子が〈のっぺらぼう〉を見るようになる。そうして母に兄の連絡先を聞き、兄と再会を果たす。その兄の独白で話は進んでゆく。
昔の、ノスタルジィの、どこか怪しく懐かしい話。ミステリー、ではない。
僕は、こういう話であれば短編のほうが良かったかな、と思うんですが、ただそうするとまさしく「光の帝国」になってしまい、問題がありそう。ジャンルわけがちょっと難しい感じ。でもまあ、やっぱりライノベでしょうか。
どうも「恩田陸っぽさ」というのはあるんですが、嫌いじゃないので次の作品がハードカバーじゃなかったら追ってみることに。