短編集。四編収録。デビューが創元推理社(たぶん)で、北村薫加納朋子という流れの受け継いだ「あまり人が死なないミステリー」作家。と、そんな印象を持っていたので、えー、ちょっと舐めてました。
表題作の「十八の夏」は自分的にはもう一つだったんですが、「ささやかな奇跡」「イノセント・デイズ」がいいですね。ごくごく普通の人が持つ悪意(「ささやか」と「イノセント」ではそのレベルは違うけれど)、それを見据えた上で何とかひっくり返す、返そうとしている。「ささやか」にはやられてしまいました。途中でネタがわかってしまっても気にならなかったってのは、入り込んだんだろうなと。まあトリック主体のものではないってのもあったのでしょうけど。

「アホやなあ。先に行かなならんとこがあるやろ」

いいセリフです。
修正:「十七の夏」→「十八の夏」でした。