一九四五年の日本が舞台。戦時中。少しびくびくしながら読んだ。
そのびくびくは、「ガーゴイル」が重くて暗いものになってしまっているんじゃないかと思ったからで、暗い「ガーゴイル」は「ガーゴイル」じゃないと思っているからで。
杞憂でした。田口仙年堂は自分の作り出したキャラクターと世界のことをちゃんと知っているのだと思う。重いところは重いんですが、そこはちゃんと(という言い方も何か違う気がするけれど)「ガーゴイル」の重さ。
9、10、とシリーズ初の上下巻。読み返すとすごい勢いで引用したくなる。会話がいい。文章好きだわ。高原イヨの言葉がひどく優しい。双葉の言葉や行動や考えが、まさしく田口仙年堂の世界なんだと思った。
巻頭に「怪盗白色危機一髪!」、巻末に「コッペとひみつのへや」が掲載されていてお得、というか、かなり嬉しい。


アニメについて。
悪くはないとは思うんだけど、展開早すぎだと思った。一原作ファンの意見ですが、一巻分を二話(一時間)でやってしまうのは何だか「えー」という感じ。昔2ちゃんのスレで「NHKで2クールか4クールかけてアニメ化してほしい」(うろ覚え)というのを見かけて、それに激しく頷いた人間としては、いくらか不満がある。アニメより先に原作を読んでほしいと思う。ほんとに。
田口仙年堂の話は基本的にベタなんですよね。それをキャラクターとか、エピソードの質、精度とかで盛り上げているから、そこを端折られると薄くなるように思う。
あと、若本さんと斎藤さんはとてもいいです。